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利尻昆布のみで仕上げる「野菜のすり流し」では、自家製豆腐に添える大和当帰（生薬）の刺激が、旬野菜の甘味・苦味を口中に開かせる瞬間が秀逸。そして、「葛うどんパスタ」では季節の素材を調和する食感が見事だ。「一瞬」や「過程」など、タイミングが生む心象。綿密に創り込む仕掛けで、奈良の新味を味わわせてくれる。
地場で継がれる伝統的な品種を「使われなければ、作られない…」と、積極的にメニューへと組み込む。烏播（ウーハン）や筒井れんこん、結崎ネブカや大和真菜。時に素材そのものの魅力を際立たせ、時にこれまでとは違った表情も魅せている。土の香り立ち昇り、奈良の矜持が詰まる逸品を存分に。
メープルの床面に斜めに伸びる高天井。コの字を描く窓面外には深い木立が生い茂る。この一面全てが、六感にまで共鳴するワンシーン。暖炉やアンティークの照明器具、北欧のYチェアなど、「いいものを大切に使い続ける」精神が深く息づいている。
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